やっぱり江戸の粋は恥ずかしいのかな・。
「2000円しかない? ええい、持ってけ泥棒」。 新春を前に、縁起物の熊手を買い求める人でにぎわう東京・浅草は鷲(おおとり)神社の酉(とり)の市。 売り口上と客による値切りが風物詩だが、今年、300年以上の歴史で初めて「値札」が登場した。「値切るのが恥ずかしい」という客が増えたからという。(加納昭彦) 酉の市の由来は諸説あるが、同神社によると、江戸時代初めの1630年ごろに同神社で始まり、次第に全国に広がったとされる。 「福をかき込め」。そんな願いを込めて、七福神や大判小判を乗せた熊手が売られるようになったという。 商品には値札をつけず、客との軽妙なやり取りで値段を決めるのが昔からの習わしだ。 「よっ、そこのねえさん、よく見るとべっぴんだね。1000円まけるよ」「ちょっと、『よく見ると』がよけいだよ」という具合。 売買が成立すると、売り子が客を取り囲み、「手締め」と呼ばれる儀式を行う。 「いよーっ、商売繁盛」。威勢のいい掛け声とともに、江戸情緒たっぷりに手拍子を送る。 ところが、今年の11月5日の一の酉には、複数の店で値札が登場した。 同神社総代の横山一彦さん(61)は「お客さんに気軽に買ってもらう配慮からです」と話す。 昨年の酉の市でアンケートを取ったところ、「売り子との会話が恥ずかしい」「値切ることにためらいがある」として、値札を付けてほしいとの要望が100件に達した。特に若者の間にそんな声が多かった。 このため、同神社と業者は今春、会合を開き、3世紀半以上続いた“禁”を解き、1万円までの商品に限って値札を出してもよいと申し合わせた。 いざ始めてみると、値札を付けたのは境内を埋める約100店のうち、1割に満たなかった。その一つ、創業約70年の「西一」を経営する西野幸夫さん(46)は「江戸の粋が失われてしまうかもと、大いに迷った」と話した。 しかし、17日の二の酉には、西野さんの心配をよそに多くの「初顔」の客が姿を見せ、売り上げを伸ばした。 5000円の品を買った墨田区の中華料理店主の女性(54)は「値段があるとわかりやすい」と、商談なしに熊手が買えたことに安堵(あんど)の表情を浮かべていた。 一方、荒川区の居酒屋経営、工藤良子さん(61)は「アンチ値札」派。 30年以上も通う常連で、この日は値札のない店で値切り、1万3000円と言われた品を1万円にまけさせた。 差額の3000円は「ご祝儀よ」と言って、売り子の手に握らせる。 工藤さんは「粋でしょ。あらかじめ値がついていたら味気ないわ」とご満悦の様子だった。 コンビニに親しんだ世代にとって、江戸の粋より安心感が大切なのかもしれない。 どこかさみしい気もするけれど。三の酉は29日。同神社では今年の売り納めとなる。
値切りは恥? 熊手に初の値札
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081122-00000035-yom-soci
今日のラッキー
キーワードは、「
20世紀少年」です。